モデルのボーダー隊員(前のストーリーとは少々異なります)
第22章 記者会見と仕事
修君への質問、もとい批判が続いてとある記者からの「修君自身はどう責任を取るのか」と言うような質問に対して「取り返しに行く」と答えた。
当然会場内はざわつく。取り返しに行くという事は近界に行くという事だからだ。ボーダーでは既に近界への渡航・遠征は何度もしているが、それは全て秘密裏に、極秘の任務として。
機密事項の一つをバラしてしまったが、そこは城戸さんがすかさずフォロー。無人機とはよく考えたね。
戻って来た修君に「お疲れ様」と言おうとした時、不意に根付さんと目が合う。
...あ、何か嫌な予感。
(何か?)
(今男装できるかい?)
(まさかとは思いますが、シュウになれと?)
(そうだよ。ついでだし、今公表してしまおう)
(挨拶とか考えてませんけど)
(そこは臨機応変に頼むよ)
(...わかりました。一分ください)
根付さんは僕が言った通り一分間の準備時間をくれ、その間場を繋いでくれた。
「みなさんお静かに、ボーダーからもう一つ報告がございます。...」
きっかり一分間、準備を終えてシュウに変わる。
何時でも出れる。
「では、入って来て下さい」
「はい」
颯爽とステージを歩き、根付さんの横に立つ。
「彼女が今回新しく広報担当になった隊員です。挨拶を」
「みなさんお久しぶりです。男装モデルのシュウです。先程根付さんからもあったように、この度ボーダー広報部で広報担当として活動することになりました。
現在モデル業の方は休業中ですが、来月から活動を復帰しますと同時に広報の活動もスタートします。急な事で驚かれる方もいらっしゃるかと思いますが、これからも精一杯活動を続けますので暖かく見守っていただけると嬉しく思います。以上です」
会場内が驚きの声で溢れ返った。
四方八方から質問が上がるが、声がぶつかり合って何言っているのかわかったもんじゃない。
ちょっと黙ってくれます?と大きめの声で言うと静かになった。
「俺聖徳太子じゃないんでそんな一斉に言われても聞き取れません。と言うか、今のは聖徳太子でも聞き取れませんよ?ということで、質問は挙手制でお願いします」
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記者会見が終わり、修君達の所へ戻ると体調を心配された。病み上がりとはいえそこまでヤワじゃねぇんだけどな。
「心配すんな」と言って頭を撫でれば少し安心したようで、二人の表情が柔らかくなった。
