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モデルのボーダー隊員(前のストーリーとは少々異なります)

第22章 記者会見と仕事


体力も食欲も順調に戻りつつあったある日、外務営業部長の唐沢さんが玉狛を訪ねてきた。
何でも、修君と遊真君に用があるらしい。しかも、少し出掛けるとかなんとか。

「おまたせ、カラサワさん」
「お待たせしました。どこへ行くんですか?」
「それは着いてからのお楽しみさ。藤咲さんも行くかい?」
「いいんですか?じゃあ、同行させてください」
「OK。それじゃ、行こうか」

唐沢さんの車に揺られて着いたのは、三門市内の大きなホール。そういえば、今日はこの前の侵攻に関する記者会見があるって聞いたな。

会場内に入り、根付さんが話しているのを横入口から見る。
記者側からの質問時間になった時、とある記者から三門第三中学で起こったイレギュラー門の件が指摘された。名前こそ上がらなかったが、当時訓練生だった修君がイライラの捌け口となった。

唐沢さんがあの記者は根付さんの仕込みだと教えてくれる。手ぶらで帰ったら何を書かれるかわからないため、わかりやすいネタを示したとかなんとか。
このことは事前に決まっていたらしく、本人が知らないのは可哀想だから連れてきたと言う。

「いい性格してますね」
「褒め言葉として受け取っておくよ」
「嫌味じゃなくて褒め言葉ですよ」

チラと修君を見れば、この事に対しては怒っていないが悔しい思いをしているように見える。これは紛れもない事実で、僕が悪いんだと思っているのはわかる。

「今の修君、僕が気に入った時の修君じゃない。どこにでもいる普通の人間と同じだよ」
「...え?」
「アキ先輩の言う通りだな。いつもの頑固さはどこに行ったんだ?」
「...!悪い空閑。ちょっと行ってくる」

何かに気付いたらしい修君は、姿勢を正し、堂々と根付さんの所まで歩いて行く。忍田さんや林藤さんの位置からは僕達も見えたらしく、さらに驚いた顔をしていた。

修君が根付さんの場所を奪い、自分その話の隊員だと、自分が直接質問に答えると言った。記者からの質問に一つ一つ丁寧に答えていく修君は、少しずつあの時のカッコイイ姿を取り戻して行く。
それにつれ、記者側のイライラがどんどん膨れ上がり、反省の色が見えないだのなんだの好き放題言う。

「あの記者達、何も知らないくせによく言えるね。考える頭がないわけ?」
「ドクゼツですな、アキ先輩。まぁ、俺も同じ事思ったけど」
「ははは...」
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