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モデルのボーダー隊員(前のストーリーとは少々異なります)

第21章 僕の周りの人達


城戸さん達に連れられて来たのはボーダー本部の屋上。屋上には数える程度しか来たことが無いから、ここから見える三門市の景色は久しぶりに見る。
だと言うのに...

「あの、何で目隠しされてるんですか?」
「いーからいーから。もうちょいで外すから」
「城戸さんもう少しこっちです」
「わかった」

え、何?楽しみ半分怖い半分なんだけど。
でも、外の空気が吸えて少しは気分が良くなった気がする。

「よし、外すぞ〜!」

シュルと布の擦れる音がしたかと思うと、まぶた越しに眩しい光を感じた。
恐る恐る目を開けると、僕の瞳いっぱいに三門市全体を紅く染める大きな夕陽が映った。

「わぁ...!」

思わず目を細めてしまいそうになるような強い光。
その自然な光で紅く染まる街。
そして僕ら4人の長く伸びる影...
眺めている間にも紅は段々と薄くなり、オレンジ、ピンク、紫と魅せる色と街の表情を変える。何とも言えない幻想的な世界。
こんなにも綺麗な景色は初めて見た。何年もこの街に住んでいながら、何で今まで知らずに生きてきたんだろう。今までの人生を凄く勿体なく感じさせられる。

「凄く、綺麗...」
「...明希?泣いているのか?」
「え?...あ、ホントだ。...きっとあまりに綺麗な景色だから...感動しちゃったんですね...」
「そうか...」

城戸さんが優しく僕の頭を撫でてくれる。その手があまりに優しくて、止まりそうだった涙がまた溢れてくる。
前も大泣きしたのに、また泣いてしまった。一体僕はどれだけのモノを溜め込んでいたんだろう。自分でも気付かないのに、何で城戸さん達は気付いたんだろう。
この3人の大人達には、何年経っても敵わない気がしてならない。

すっかり陽も沈み、僕の涙も止まった。再び城戸さん達に連れられて医務室に戻ると、慌てた様子の悠一と蓮琉がいた。

「2人とも...?どうしたの?」
「姉さん!」

蓮琉が僕を視界に捉えると同時に、僕に抱き着いてくる。どうやらここに居なかったらから心配したらしい。悠一は城戸さん達と何やら話している。

「ごめんね、どっか行っちゃって」
「帰って来たからもう良い。でも、書き置きだけして欲しかった」
「次から気をつけるね」

城戸さん達との話を終えた悠一が、数枚の写真を持って戻って来た。
それは、先程の夕焼けと一緒に写る僕の写真だった。
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