モデルのボーダー隊員(前のストーリーとは少々異なります)
第21章 僕の周りの人達
那須隊が帰った後、暫くは1人だった。多くの人が来てくれて嬉しかった反面、少し疲れていたから休憩には丁度良かった。
ふと壁を見ても、ただの壁しか見えない。つい窓があるように感じて外の景色を見たくなる。でも、今の僕1人じゃ満足に動くことが出来ない。
しかも「病人は大人しくしてなさい!」って悠一に言われたしな...でも、久しぶりに外行きたいな。外の空気が吸いたいな。
ボケーッと壁を見つめていると、不意に声が聞こえた。
「明希、入るぞ」
「...どうぞ」
入って来たのは城戸さんと忍田さんと林藤さん。え、3人揃って来るとか暇なの?
「3人揃ってお見舞いに来て、仕事は大丈夫なんですか?」
「仕事の息抜きだからへーきへーき」
「林藤は溜めるだけ溜め込んで仕事して無いだろ」
「それより体調の方はどうだ?」
「元気そのものですよ。早くみんなと同じように任務に就きたいな」
医務室のお医者さんが言うには、1週間はここで入院して栄養失調の改善を行い、その後は玉狛に戻って体力を戻さないといけないらしい。
「任務に就けるのは早くて来月だ。今月は既に決まっている」
「知ってますよ。それまでに頑張って元通りになりますからね」
「...なぁ明希」
「何ですか?」
いつも明るい林藤さんが、少し低めのトーンで話し始める。急にどうしたんだろう。
「...無理してないか?」
「無理...ですか?してるように見えました?」
「さっき「元気だ」って言った時の笑顔が、何処か作り物っぽく見えたんだ」
暫く会っていなかったとはいえ、流石林藤さん。表情から察するに忍田さんと城戸さんも同じ事を思ったらしい。城戸さんはわかりにくいけど。
「敵いませんね。頑張って隠してた積もりなんですけど...」
「やっぱりそうか。何かあったのか?言い難いことなら無理に言わなくていいが...」
「そんな大したことじゃないですよ。ただ、ちょっと外に行きたいなって思っただけなんです。この部屋って窓が無いから、今が昼なのか夜なのか時計や来てくれる人で判断するしかなくて...。でも、今の僕じゃ自力で歩くの大変だから諦めてぇぇ!?」
話している最中だと言うのに城戸さんに持ち上げられ、忍田さんが用意した車椅子に乗せられ、寒くないようにと林藤さんが上着を着せてくれた。
え、何この無駄に良い連携...
気持ちは嬉しいけど、怖いよ?
