モデルのボーダー隊員(前のストーリーとは少々異なります)
第21章 僕の周りの人達
翌日
僕が目覚めたという知らせはあっという間に広まったようで、多くの人が見舞いに来てくれた。
瑠衣に関しては「明希ー!」と叫びながら、潰されそうなくらい強く抱きしめてきた。
自業自得なのはわかっているから、その苦しさも甘んじて受け入れた。
「心配したのに〜!来てみればなんか元気に「あ、瑠衣おはよ〜」とか言うし!しかも何か迅さんと更に仲良さげになってたし〜!私の心配返せ〜!」
「え、なんかごめん」
こんな事言ったら怒られるから言わないけど、プクッと頬を膨らませて拗ねる姿が本当に可愛い。
ていうか、瑠衣の勘が鋭すぎて怖い。そんなに仲良さげに見えてたの...?
「元気になってんだから許してやれよオサノ」
「諏訪さんは黙ってて。というか、タバコ臭いから外にいてって言ったじゃん。明希の体に障ったらどうすんの」
「え、酷くね?俺そんなに臭いか?」
瑠衣に言われて衣服を嗅ぐ諏訪さん。僕は別に気にしないけど...
「吸ってる本人は自覚ないんだよ〜。わかったら外で待ってて」
「へいへい」
諏訪さんを追い出した瑠衣は、くるりとこちらを振り向き、さてと話を切り出す。あ、嫌な予感。
「迅さんとどうなったのか教えていただきましょうかねぇ」
「え、あの、瑠衣怖い...」
「小南達を呼んであげてもいいんだよ?」
「お話しさせていただきます」
改めて瑠衣の恐ろしさを垣間見たような気がした。
昨晩の事を話した。事細かに聞かれて隠し事も出来なかった。穴があったら入りたいっていう気持ちがよくわかる。
話している間、瑠衣はずっとニヤニヤしていた。
因みに、悠一と蓮琉は久しぶりに玉狛に帰っていて今はいない。
「よかったねぇ明希〜。これで周りがモヤモヤしなくて済むよ〜!虫除けも出来るし〜」
「ちょっと待って虫除けって何。周りがモヤモヤって何」
「これだから無自覚は...怖いねぇ」
意味のわからない言葉が出てきて理解が追いつかない。とりあえず祝福されてるって事でいいの?
「ま、これから頑張りなよ。迅さんもあれでも人気あるし、明希も仕事に復帰したら会える日も減るだろうし?あ、そこは玉狛だから心配いらないか〜」
「ちょ、瑠衣!やめてよ!」
「冗談だよ〜」
冗談に聞こえないし、ちゃんと目を見て行った欲しいな!
諏訪さんに呼ばれて「じゃあね〜」と帰っていく瑠衣を見送って、僕は布団を深くかぶった。
