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モデルのボーダー隊員(前のストーリーとは少々異なります)

第20章 名前云々とお姫様(仮)


蓮琉(ヒュース)視点

「変じゃないです」と言った修は、じっと兄さんを見つめて続ける。

「僕にはそういった感情はわかりませんが、大切な人を心配するのは当然の事ですし、その人の事になると何が最善かわからなくなるのも仕方ないって事はわかります。僕にとって、千佳や空閑がその対象です。相手への感情に違いはあっても、今の迅さんの気持ちはこれと同じで、自然な事だと思いますよ」
「オサム...」
「修君...」

後輩にこんな事言わせるとは、情けない兄さんだ。チラッと兄さんを見れば、柔らかく微笑み「ありがとうメガネ君」と言った。

「情けないとこ見せちゃってごめん」
「い、いえ!そんなこと!」
「ごめん序にみんなに1つお願いしたい事があるんだけど、聞いてくれる?」

悪戯を思い付いた子供のような笑みを浮かべ、俺達に少しの間医務室の外にいて欲しいと言った。

「...やりたい事はわかったが、それ以上の事をしたら許さないぞ」
「ちょ、怖いよ蓮琉。そんな事しないから安心して」
「...わかった。目覚めたらさっさと呼べよ」
「分かってる」

小南達の背中を押して、兄さんが呼ぶまで廊下で待機する。まったく、兄さんのあの発言が伏線になっているとは思わなかったな...


迅視点

蓮琉達が廊下に出たのを確認し、眠ったままの明希に向き直る。空気に触れて、少し冷たくなってる顔をそっと撫でる。

「なぁ、明希。俺、自分で思ってる以上に明希の事好きみたいだ。本当は起きてる明希にしたかったけど、こうしないと目覚めないって俺のSEが言ってるんだ。...都合が良すぎると思うかも知れないけど、本当の事だから...ごめんね」

触れるだけの優しいキスをする。ほんの一瞬の事だが、俺には10秒程長く感じた。スッと離れると、明希の瞼がピクッと動き、長い睫毛が揺れた。

「ん...」
「明希?」
「......ゆ...いち...?」
「明希!!」

寝た状態の明希をギュッと抱き締める。
拙く乾いた声で俺の名前を呼んだ明希は、今の状況が理解出来ていないようで「ど...したの...?」と問う。

「明希...よかった...」
「くるしいよ...」

そう言われてそっと明希から離れる。明希は嬉しそうな顔で微笑み、「ありがとう」とSEで伝えてくれた。
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