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モデルのボーダー隊員(前のストーリーとは少々異なります)

第20章 名前云々とお姫様(仮)


蓮琉(ヒュース)視点

暫くの沈黙の後、「ふと思ったんだけどさ」と兄さんが口を開く。何かと思い耳を傾ける。

「何か、白雪姫とか眠れる森の美女みたいな感じじゃない?今の明希」
「...兄さんの頭は大丈夫か?」

「ひっどいなぁ」と心にも思ってない事を口に出す兄さん。眠っている所だけ見れば似ているが...

「...わかる部分もあるが、展開が違うだろう。第一どちらも王子のキスで目覚めるというのに、今ここにいるのは普通の男2人だぞ?無理がある」
「「普通の男2人」って言い方は傷つくなぁ。と言うか、よく覚えてるな。童話とか好きだったか?」
「姉さんが好きだったんだ。それで一緒に読んでいたら覚えた」

なにそれ羨ましい...とか言う言葉は聞こえない。

陽がだいぶ高くなった頃、昨日来た奴ら以外にも何人か新しい奴が見舞いに来た。兄さんはその全員を知っているようで、俺の事を毎回紹介してくれた。
そして今はやたら元気な子供が兄さんを訪ねてやって来た所だ。

「あ!迅さん!やっぱりここにいたー♪」
「よお駿。俺になんか用だったか?」
「模擬戦の申し込みに来たんだ!でも、明希ちゃん先輩のそばに居るなら今日はやめとくよ」
「ありがとな」
「それより、隣の人誰?外国の人?」

...あ、俺か。外国人じゃないから一瞬誰の事かわからなかったが、自分の見た目は十分外国人のそれだった。

「こいつは明希の弟の蓮琉だ。仲良くしてやってくれ」
「俺緑川駿!よろしくね、蓮琉先輩!」
「あぁ、よろしく」

人懐っこい笑みを浮かべ、差し出された手を握り返す。後輩好きな姉さんはこいつの事可愛がっていそうだなと、少しヤキモチを妬いてしまう。

「と言うか、明希ちゃん先輩に弟いたんだね!初めて知ったよ!」
「まぁ、明希の家はちょっと複雑だからな。あんま人に言えないんだ」
「そっかぁ...じゃあ俺も何も聞かないよ。明希ちゃん先輩の傷付くような事だったら嫌だし」

前言撤回。こいつ...思っていたより良い奴だ...!
突然輝く瞳で見られたせいで緑川が若干引いているのに、蓮琉が気付くよしもなかった。
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