モデルのボーダー隊員(前のストーリーとは少々異なります)
第3章 勧誘
「いやぁ、まさかお客さんが明希だとは思わなかったなぁ」
僕と悠一は今ラウンジにいる。あれから5分後に2人とも泣き止んで、話が進められた。結果から言えば僕は玉狛支部隊員として特別枠で入隊し、C級から始めることになった。
その際のトリガーは、馴染みのある弧月を選んだ。
玉狛支部に入ると聞いた時の城戸さんと忍田さんの残念そうな顔を鮮明に思い出せてしまう。
「SEも万能じゃないんだし、仕方ないよ」
「やっぱり明希は優しいな。明希の方はどうなんだ?上手くコントロール出来てる?」
「うーん、まぁまぁかな?気を抜くとたまにキャパ越えちゃうし」
今はお互いのSEの話をしている。悠一は未来視の、僕は読心のSEを持っており、どちらも最高位の分類に分けられる。
「そうか。...でも、近い未来でコントロール出来るようになってる未来が見える。がんばれよ、明希」
悠一からの激励に元気一杯の声で答える。悠一が言うんだもん、絶対できる!頑張るぞ!
それから暫く雑談すること30分、これからお世話になる玉狛支部に向かうことになった。悠一が言うには、桐絵を含む全員がA級トップクラスの実力を持っており、ボーダー最強部隊と呼ばれているらしい。
桐絵はその部隊のエースだとか。流石桐絵。
支部に着いた第一声は「旧ボーダー基地だ!懐かしいなぁ」だった。使われなくなった水質管理所を買い取って基地として使われてきたここは、僕の中ではもう1つの家のような立ち位置となっている。
「さ、入るよ」
玄関に入れば、カピバラに乗ってヘルメットをかぶった男の子のお出迎え。林藤さんのお子さんかな?
「お、陽太郎。他のやつらいるか?」
「しんいりか」
「『しんいりか』じゃなくて」
悠一にチョップされた男の子は、頭を押さえながら「なにをする!じん!」と大声を出す。
すると今度は2階の廊下からパタパタとスリッパの音が聞こえてきた。
「あ、迅さんお帰り~。隣は例のお客さん?そんなとこ居ないで早く上がってもらいなよ~!」
「おう、わかった。小南達はもう揃ってるか?」
「バッチリだよ!」
何がバッチリなんだろう。そんな疑問は横へと追いやり、建物懐かしさに再び思いを馳せながら慣れた廊下をリビングへ向かって歩いていく。
ドアを開けると、そこには筋肉の凄い男性とモサッとした同い年くらいの男の子と、先程の眼鏡の女の子がいた。
