モデルのボーダー隊員(前のストーリーとは少々異なります)
第19章 睡眠不足と姉弟
明希視点
悠一が玉狛第二と事情を知らない人も連れてここまで来てしまった。
丁度話始めようとした時で、確かにナイスタイミングではあるけど、事情を知らない人と聞かせたくない人が数名いるせいで話しにくい。
どうしようか悩んでいると、シュウが代わりに話すと言い出した。
有難いけど、シュウは大丈夫なのだろうか。人格は違うけど、体は共通。あの時のあの感覚を覚えているはずだ。
(本当に大丈夫?)
お前が話すより何倍も大丈夫だって言える
(なんか酷い言われよう)
事実だ。諦めろ
そう言われて無理矢理人格を入れ替えられる。
申し訳ないなんて思ったら怒られちゃうから、ありがとうって思っておく。シュウは僕に甘いなぁ。
影浦視点
「こんな大勢集まって、明希は人気者だなぁ」
突然喋り始めた藤咲に驚いて顔を上げると、さっきまでの弱っちぃ雰囲気じゃなくて、太刀川さんみたいな堂々とした雰囲気を纏っていた。
菊地原も何か感じ取ったのか、驚いてんのがわかる。
[菊地原、なんか聞こえんのか]
[心音が変わった]
[心音?]
[さっきまで焦ったような心音が聞こえてたのに、1回大きな音がした後からずっと落ち着いた心音が聞こえる]
何が起こってんのか全くわかんねぇ俺達を他所に、当の本人はニヤニヤして「楽しい」って感情が伝わる。
あいつ、あんな笑い方する奴だったか?って言うかこの状況を楽しんでんじゃねぇよ。
「入れ替わって大丈夫なのか?倒れたりしないだろうな」
「心配性だな、秀ちゃん。多分俺が抜けたら気絶すると思うぜ」
「全然大丈夫じゃないな!でも話だけは聞くからな」
「おう。勿論そのつもりだ。その為に俺が出て来たんだからな」
明らかに口調も違うし、一人称も「俺」になっている。
どういう事だ?
「あ、カゲさんと菊地原は知らねんだっけ?俺はっつーか、明希は二重人格なんだよ。本体が明希で人格が俺。一応「シュウ」って名前付いてるから、そっちで呼んでくれ」
「成程ね。だから性格が変わって堂々としてるんだ」
「納得がいったな」
やたらご機嫌なシュウに、いいから話せと太刀川さんが急かす。
「急かされなくても話すっての。
今から話すのは、侵攻の時に明希が敵近界民の親玉に襲われた話だ。襲われたってのは性的な意味の方だから、玉狛第二の奴らにはあんま話したくねぇけど、聞くなら自己責任な」
