モデルのボーダー隊員(前のストーリーとは少々異なります)
第19章 睡眠不足と姉弟
三雲視点
【誰か...助けて...】
ふと聞こえたその声は、「聞こえた」という言うより「響いた」と言った方が正しく、その上気付けるかどうかのかなり弱々しい声だった。
「今の!」
「あぁ、間違いなく明希だな」
僕だけでなく迅さんや千佳達にも「響いて」いたらしい。
「全員聞こえていたという事は本部内の人間は全員聞こえているだろうな。小南と京介達にも聞いてみる」
迅さんはそう言って耳の通信機に指を当て、連絡を取る。迅さんの予想通り、小南先輩と烏丸先輩にも「響いて」来たらしい。
取り敢えず今から、人が多いランク戦会場で合流する。
僕らがラウンジに着くと、既に烏丸先輩達は到着しており、こっちに気付いた先輩方と合流する。
そしてランク戦会場内がやけに騒がしい事に気付く。
「この騒ぎは十中八九さっきの声だろうな」
「でしょうね」
「でも何処にいるかわからないんすよね」
「いや、そうでも無い。すぐそこに人探しに最適なSE持ちの人物がいる」
迅さんが指さした先にいたのは、菊地原先輩と黒いボサボサ頭の人だった。
「カゲさんと菊地原っすか。確かに人探しには最適ですけど、あの2人がここにいるなんて珍しくないっすか?」
「カゲさんは模擬戦しに来てたんじゃない?菊地原は歌川の付き添いでしょ。近くに居るし」
「そういう事。2人を呼んでくるからちょっと待ってて」
待つこと3分。迅さんは例の2人を連れて戻って来た。
「以外と早かったわね。もう少しかかると思ってたわ」
「2人に明希の話したら食いついてさ〜」
「ちょっと、誤解を招くような事言わないでくれません?探すのは事情ってもんがあったから協力するだけだし」
「俺はSEが似てるっつーからどんなのか気になっただけだ」
「嘘はついてないね」
「当たり前だろ(でしょ)」
息ピッタリの反応にこの2人は似てるなと思ったのは僕だけじゃないはず。
「さて、それじゃ今から探し始めるぞ。2人共、さっき響いて来た声何処からだった?」
「あっちだ」
「同じく」
影浦先輩と菊地原先輩が指さした方は右上。
上の階はB級部隊の作戦室、その上がA級部隊の作戦室などがある。そのどこかに明希先輩はいるらしい。
どんな状況下はわからないけど、その場の全員が「助けないといけない」使命感に駆られた。