モデルのボーダー隊員(前のストーリーとは少々異なります)
第19章 睡眠不足と姉弟
三雲視点
宇佐美先輩から連絡が入ってから、千佳と一緒に本部内を探し回っていた。
「修君、あそこ...」
千佳が何かに気付いて指さした方を見ると、明希先輩と一緒にいたという三輪先輩・米屋先輩・出水先輩が模擬戦ブースにいた。
出水先輩と米屋先輩達は模擬戦中で声は掛けられなかったが、三輪先輩は二人の戦闘を見ていたため声は掛けられそうだけど...
「三輪先輩、こんにちは」
「玉狛...!」
やっぱり声を掛けただけで威嚇されてしまう。
でも聞かないといけない。
「明希先輩の居場所を知りませんか?レイジさんから、三輪先輩達が明希先輩と一緒にいたと聞いているんですが」
「...居場所はわかるが、本人から教えるなと言われているから答えることは出来ない。わかったら帰れ」
「そんな!」
三輪先輩はそう言うと丁度出て来た出水先輩達と一緒に模擬戦ブースから出て行った。これじゃ見つけようがない。かと言って、手当り次第探している時間もない。
どうすればいいのか考えていると、千佳が狙撃手訓練場に行ってみようと提案してくれた。答えは同じかも知れないけどと付け加えられたが、何もしないよりはずっと良い。
早速訓練場に来て奈良坂先輩を探す。千佳が奈良坂先輩がいつも居る場所を教えてくれてすぐに見つけることが出来た。
「奈良坂先輩、こんにちは」
「三雲と雨取か。どうした?」
先程と同じ様に奈良坂先輩にも聞く。帰ってきた言葉も三輪先輩と同じだった。
「答えてやれなくて悪いな」
「いえ、大丈夫です。ありがとうございました」
分かってはいたけど、またゼロから始めないといけなくなった。再びどうしようかと訓練場から出て考えていると、空閑と迅さんがこちらに走って来ているのに気付く。
「オサム!アキ先輩は!?」
「まだ見つかってない。三輪先輩達にも聞いたんだが、本人に言うなって言われてるから言えないって」
「...そうか」
「迅さん、未来は変わってませんか?」
「戻って来るのは変わってない。けど、そこに行き着くまでが難しい。まず本人が何処にいるかわからないし、本部に来てから明希のSEのせいで鮮明な未来が見えてない。特に明希に関するものはほぼ見えないし、探すのも一苦労だ」
迅さんの言葉に不安が増す。と同時に、何処からとも無く声が聞こえた。