モデルのボーダー隊員(前のストーリーとは少々異なります)
第18章 同輩達と支部
蓮琉(ヒュース)視点
「アキ先輩が不登校にならなかったのが二人がいたからってどういう事だ?」
「まず、俺の方は知っての通り未来視のSEがあるだろ?俺も先天的なSE持ちだけど、それのお陰でいじめを回避してたから、どっちかって言うとクラスの中心に近かったな。
蓮琉はまぁ、この見た目で頭も良くて、運動も出来て、芸術性もあったからな。女子からの人気・先生からの信頼・男子とのノリも良かったんだよ。こいつは完全にクラスの中心だったな」
「褒め過ぎだし、姉さんは俺以上に何でも出来たぞ。それは良いとして、そんな俺達がいたら余計にいじめが悪化しそうだと普通なら思うだろ?悪化はしなかったがいじめが無くなることは無かった。
俺達が側にいる事である程度は抑制されていたが、学年行事や普段の授業には側に居ることは出来ないからな。その時に当然いじめられる。
無視・暴言は当然。机や教科書の落書き・破損、有りもしない噂が流れたり、酷い時は女子からの暴行もあったな」
「まぁ、当然全部片付けるよね。明希が気付かないように小さい事は俺達が無かった事にしたり、いじめられてるとこ見たら止めに入ったりとか。休み時間と登下校は絶対一緒。出来ることは徹底してやったよ。
どっちか片方だけになる年もあったけど、それは仕方ないからね。どっちかが頑張るし、助けられない方は家とか休みの日に一緒にいるようにしてたね。
そうやって俺達が頑張ってるの知ってたから、明希も頑張って学校行ってたんだよ。普通ならこれ以上迷惑掛けたくないからって不登校になるけど、明希は逆なんだ。諦めない芯の強さと、俺達の事も考えてくれる優しさを持ってた」
粗方話し終わると、遊真がふぅと息を漏らし感想を述べる。
「アキ先輩、思ったより壮絶な時期を送ってたんだな」
「まぁ、普通の人からしたらそうだな。遊真を普通の人って括っていいのかわかんないけど」
「そう言えばアキ先輩がボーダーに入ったのっていつだ?」
「確か小二の夏だったな。姉さんがボーダーに入っている事は知っていたから、そこで新しい友達が出来たと言ってくれた時は本当に嬉しかったし、あの時の笑顔は今でも忘れられないな」
「何それ!俺そんな話聞いてない!」
「今初めて言ったからな。それに、ボーダーに通うようになってからは笑顔が増えた。恐らく、その友達と言うのが小南の事なんだろうな」
