モデルのボーダー隊員(前のストーリーとは少々異なります)
第18章 同輩達と支部
「明希!」
だんだんと僕を呼ぶ声が大きく近くなる。みんなの声に、無意識の内に入っていた力がフッと抜ける。
「みんな!」
「!良かった、やっと見つかった...」
「勝手にどっか行くなよな〜?」
「秀次なんか顔真っ青だったんだぜ?」
「おい陽介」
秀ちゃんが真っ青になるくらい心配かけてしまった事に物凄く申し訳なくなる。
謝ろうとした時、絡んで来た女子4人の内1人が空気を読まずに話しかけてくる。
「あのぉ、お兄さん達が明希さんのお友達ですよねぇ?今から私達と遊びませんかぁ?」
「...明希、彼女達が例の絡んで来た女子か?」
「うん。断ってるんだけど、なかなか引いてくれなくて」
ふぅんと身のない返事を返した透君は、視線を女子4人に向ける。案の定彼女達は透君の美人さに圧倒されている。
「悪いが、俺達は君達の相手をしている暇はないんだ。遊びたいなら他所を当たってくれ」
「で、でもぉ、少しくらい遊びましょうよぉ♡まだ5時前ですしぃ♡」
「...しつけぇなぁ」
その時、僕以外のほぼ全員が温度のない声を耳にし固まった。僕が痺れを切らす前に[シュウ]が痺れを切らしたようだ。
「さっきからガタガタうっせんだよクソアマ共。俺や透が断ってんのが聞こえねぇのか?その耳は飾りか?それとも頭ん中空か?自分の都合と気分ばっか押し付けんじゃねぇぞ。少しは相手の事考えろ。考える頭がねぇってんなら、小学生からやり直せや自己中共」
そう言い放った後、「行くぞてめぇら」と公平君達に声を掛けて、彼女達にわざとぶつかって歩いていく。
怒気で動けなかった公平君達はその一言で動けるようになり、急いでシュウのあとを追いかける。
店を出ての道すがら、シュウは代わってくれる気配が全く無く、みんなとの会話もなかった。
それに耐え兼ねた陽介君が真っ先に声を上げる。
「おい、シュウ」
「あ?んだよ」
「いつまでキレてんだよ。そろそろ機嫌とキャラ直せって」
「帰るまで無理だな。今明希に戻ったら疲労で倒れる」
「マジかよ。じゃあそのままで」
変わり身早いなぁ。って言うか僕そんなにヤワじゃないもん。ちゃんと歩けるし。と拗ねると、シュウに「暫く寝れてねぇだろうが」と言われてしまった。うぅ、言い返せない。