モデルのボーダー隊員(前のストーリーとは少々異なります)
第17章 拒絶反応と太刀川隊
「すまなかった」
そう言って頭を下げる太刀川さんに対し、僕は黙って続きを待つ。
「お前が...藤咲が酷い目にあったって忍田さんから聞いて、俺が油断したからだってすぐに分かった。藤咲は自分のミスでこうなったって言うだろうが、一緒にいた俺が、1番近くにいた俺が、一瞬気ぃ抜いたせいでお前が攫われたんだ。総合1位だなんだって言われてる癖に、それなりに実力もあるって思ってたのに、俺はお前を守れなかった。だから...」
太刀川さんが更に深く頭を下げる。
確かに嫌な思いはしたし、今も凄く自分が汚く感じる。でも、それを太刀川さんのせいだなんて一度も思ってないし、思わなかった。
「...太刀川さんは優しい方ですね」
「え?」
「だって、会って間もない僕をこんなにも責任を感じるくらい守ろうとしてくれました。鈍感と言われる僕でもわかるくらいに」
下げていた顔を上げた太刀川さんを見て微笑み、一呼吸置いて再び話し始める。
「太刀川さんの言うように、今回の件は僕の注意不足です。相手に隙を見せたのは僕も同じですし、焦ってまともな攻撃が出来なかったのも僕の実力不足のせいです。でも、この言い分が太刀川さんの罪悪感を消すわけではありません。ですから、お互い様という事にしちゃダメですか?」
太刀川さんが少しの間黙り込み、諦めたように深くため息を吐く。
「はぁ....本当に優しいのはどっちだよ。お前には適わねぇな....ありがとう」
「どういたしまして。少しは楽になりました?」
「おう。多少はな」
そう言っていつものようにニカッと笑う太刀川さん。そのおおらかで安心感のある笑顔は、僕の心も軽くする。
「ところで、お前こんな時間に本部に居ていいのか?玉狛の連中とか、弟ってやつが心配してんじゃねーのか?」
「その...家出もどき?して来まして...」
「家出もどき?」
玉狛であった家出もどきの事情を太刀川さんに話す。太刀川さんなら僕の侵攻時の事情についてさっき話してたとこで知ってるし、それに、どちらを話したところで言いふらされるとは思わない。
経緯を話終えると、何か閃いたような顔で「じゃあさ」と話を切り出す。
「ウチに泊まればいいじゃん」
「...え?」