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モデルのボーダー隊員(前のストーリーとは少々異なります)

第17章 拒絶反応と太刀川隊


蓮琉から思わず離れてしまった僕は、いたたまれなくなり外へ出る。辺りは薄暗く、冬の寒さで夜は冷え込むと言うのに、制服姿のままで出て来てしまったせいでかなり寒い。
でも、今は帰りたくない。蓮琉に合わせる顔がない。心配してくれただけなのに...。
今日は本部の仮眠室で休もうと決める。夕食はラウンジで食べればいいし、お金もちゃんとある。
本部へ向かい警戒区域を歩く。未だに続く戦闘音が、僕の心を表しているようだった。

本部に着いて、行きなれたラウンジに行く。何を食べようか考えていると、前方から諏訪さんがこちらに手を振って歩いて来ているのに気付いた。そこでふと不安が過ぎる。
蓮琉の時みたいに拒絶してしまったらどうしよう。会う度に気に掛けてくれる優しい人に対して、拒絶したくない。それは他の人にも同じ事が言える。勿論蓮琉にも。
不安に駆られながらも「こんばんは」と挨拶を交わす。

「おう、こんばんは。こんな時間に本部に来てていいのか?レイジの飯食いっぱぐれるぜ?」
「えっと...ちょっと訳あって、家出もどきしてきました」
「家出もどき?何だそりゃ。まぁ、詳しくは聞かねぇけど、ちゃんと玉狛に帰るんだぞ?」
「はい...ありがとうございます」

失礼しますと言って諏訪さんと別れる。これと言った接触がなかったからなのか、拒絶反応はなかった。拒絶反応の条件がわからないが、今は気にせず食事にする。
侵攻後と夕方を過ぎた時間と言う事も相まって、学生隊員は少なく、人も疎らだった。
注文を済ませ空いてる席に腰を下ろして食べ始める。夕飯はあまり食欲が湧かなかったためサンドイッチだけにした。

「お前、そんだけで足りんのか?」
「!?」

突然声を掛けられ、反射的に振り向く。振り向いたすぐ側に太刀川さんの顔があり、思いっきり目が合った。

「おぉ、近いな」
「「近いな」って思うなら離れて下さい!」
「わりぃわりぃ...お?照れてんのか?」
「あんな近くに顔があったらびっくりしますし、恥ずかしいです!」
「ふーん、そういうもん?」

わからんとでも言いたそうな顔で僕を見返す。何か用事だろうか?

「何か用ですか?」
「あぁ。お前に言いたいことがあってな」

珍しく真面目な口振りに、向かいの席に座るよう勧める。いつもより緊張した雰囲気の太刀川さんに、僕も食べるのを止めて耳を傾けた。
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