• テキストサイズ

【イケメン戦国】夢と知りせば覚めざらましを

第12章 【秀吉・後編】※R18


「私は大丈夫です秀吉様」
竜昌が首を伸ばし、なんとか秀吉の顔を除きこむと、真っ青を通り越して真っ白になった唇に、秀吉は最後の力をふりしぼって微笑みを浮かべていた。
「…秀吉様?秀吉様!?」
竜昌の見ている目の前で、その鳶色の瞳から光が失われた。
秀吉はゆっくりとその目を閉じると、残るすべての体重を竜昌に預けた。
異変に気付き、光秀が秀吉に駆け寄った。
「おい」
光秀が秀吉の肩に手を置き、軽くゆさぶると、秀吉の身体はまるで木偶のように力なく竜昌の上から滑り落ち、地面に転がった。
光秀が、パチンと指を鳴らし、手下の忍に合図を送る。
三人の忍がサッと秀吉に駆け寄って抱き起し、手際よくその具足や着物を剥いでいった。
「う…嘘…ひで、よし…様…」
その様子を、わなわなと震えながら見守る竜昌。その手と袖は、いつのまにか秀吉の血で濡れていた。


─── ◇ ─── ◇ ───


結局、光秀の忍たちによる迅速な応急処置のおかげで、秀吉は一命をとりとめた。
しかし思いのほか傷は深く、予断を許さない状態であることには変わりなかった。
一行は とりあえず、秀吉を街道の少し先にある小さな古寺に運んだ。
急激に血液を失った秀吉の身体は、なおもガクガクと冷たく震え続けている。
「秀吉様、ごめんなさい、ごめん…なさい…」
涙ながらに秀吉にすがりつく竜昌。
「お願いします、光秀様。どうか秀吉様をお助け下さい」
竜昌はその大きな瞳を潤ませ、光秀に懇願した。
/ 372ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp