第1章 サプライズを考えていた時を想像すると萌えませんか?
「…一生モンだ。返品は出来ねーからな」
「…」
「…俺はの事、一生大事にしてやる。だから、それ…」
「する。死ぬまで大事に…ううん、死んでも大事にする」
鼻の奥がツンとする。涙が落ちそうで、私は慌てて箱の蓋を締めた。
風が強く吹いて、花吹雪が舞う。
高杉君は私の髪に付いた花びらをそっと取ったかと思うと少しかがんで、細い、小指くらいの、枝ごと落ちた一輪の桜を差し出した。
「…、ありがとな」
月明かりに照らされた私達の影は、そっとひとつになった。