第1章 1年目
「…?あ、ハイ」
私はついさっき廊下を歩いて行った彼のことを思い浮かべながら頷いた。
「その…あの、言いにくいことなんですけど…」
妖精さんは更にうつむく。いい話ではないようだと、私にも察しがついた。
「構いません。仰ってください」
私は彼女の瞳をじっと見つめる。
「分かりました…この際ですから、言いますが…」
私の思いが彼女に通じたのか、彼女は顔を上げて口を開いた。
「彼は…絶対高貴に、目覚めていませんよね」
ズキン、と胸を突かれたような気がした。
何も言えないでいる私を見据えて、彼女は更にこう続けた。
「私ちは…彼を戦闘部隊から外すべきではないかと思っています」