第1章 1年目
「マスター。今日の作戦も成功したよ。」
「はい。お疲れ様でしたシャスポーさん。お怪我はありませんか?」
「うん、まぁ…無傷ってわけではないけど、ただのかすり傷だよ。他の皆も怪我は無いし、僕はそろそろ寝るね。」
「痛むようでしたら、遠慮なく仰ってくださいね。それでは、おやすみなさい」
「うん。お休み、マスター」
パタン、と扉が閉まり、彼が宿舎へ戻る足音がする。それはやがて聞こえなくなった。
私はふう、と一つ息をついて、作戦の報告書を作成すべく再び机に向かう。
遠慮がちな小さな声が聞こえてきたのは、その時だった。
「あのぅ…すみません」