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[千銃士]惚れた弱みもなんとやら

第3章 3年目


その後は最近の作戦だとか、シャルルがこの前作ってたお菓子の話だとか、ベスとケンタッキーがしてたケンカの話だとか、他愛ないことを沢山話した。話したと言っても、私は喋ることが出来ないので、専ら彼の話に相槌をうつばかりだったけれど。
すごく楽しい。あぁ、この時間が永遠に続けばいいのに―。そう思っていたけれど、
「…マスター?どうして、泣いてるの?」
彼にそう言われて初めて、私は自分が泣いていることに気付いた。
涙の本当の理由を知る由もない彼は、私の涙がおさまるまで、ただ黙って側にいてくれた。「こんな風に話してたら、ちょっと懐かしいこと、思い出しちゃって」と、私は筆談用に携帯していたメモに走り書きした。
もう時間も遅いから、と、ほどほどの時間で私とシャスポーは別れた。部屋に帰ってからは、泣き疲れたせいもあったのだろうか、私は吸い込まれるように眠りに落ちていった。
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