第2章 2年目
あれから数日が経った。
コンコンコン、とドアをノックさて、返事を待つ。シャスポーの声が返ってきて、私はドアを開けた。
「いらっしゃい、マスター」
声に出すことが出来ない分、表情が豊かになったねとよく言われる。私はにっこりとシャスポーに微笑みを返した。
『次の作戦の日程が、決定しました』
その一言と、出撃するメンバーの名前を書いた紙を、彼の机に置く。
目を通した彼はたちまちプレゼントを貰った子供のように顔をほころばせた。
「僕…、また、作戦に出れるんだね!」
私は頷く。出撃するメンバーは、私が声を失う前とほとんど変わらないものだった。
勿論、彼の名前もある。
『だからって、無理しちゃ駄目ですよ』
私は素早く紙を裏返した。彼はそれを読んではにかんでみせる。
「あぁ、分かってる。マスターを悲しませるようなことは、絶対にしないよ。きっといい結果を持ってくるから」
それを聞いて私は少し安心した。
嬉しそうに笑う彼が大好きだった。
日差しが、彼の部屋を明るく照していた。