第2章 2年目
「マスター、本当なの?!」
顔面蒼白、といった表情で食堂に飛び込んできたシャルルに、私はただ頷いた。
「マスター、もう、歌一緒に歌ってくれないの…?」
私のブラウスの裾をきゅ、と握りしめる健気な双子に微笑みかけ、手元のメモに「ごめんね」とペンを走らせた。
食堂で朝食をとる皆の顔に、悲しげな色が浮かんでいる。
ごめんね、みんな。みんなを悲しませたかったわけじゃないのに。
でも、でも、こんな不甲斐ない私のために、悲しんでくれるんだね。
ありがとう
だけど、その言葉を伝えるための声という手段は、残念ながらもう私にはなかった。