第7章 最初の試練
◆最初の試練◆
「最下位除籍って…!入学初日ですよ!?いや初日じゃなくても、理不尽すぎる!!」
麗日が反論する。彼女の言っていることはもっともだ。だがそれでは相澤を説得することはできない。
「自然災害…大事故…身勝手な敵<ヴィラン>たち…いつどこから来るかわからない厄災。日本は理不尽にまみれている」
そういう理不尽<ピンチ>を覆していくのがヒーローだと、現役のプロヒーローが口にすれば誰しもが納得してしまうだろう。
「放課後マックで談笑したかったならお生憎。これから三年間、雄英は全力で君たちに苦難を与え続ける。"Plus Ultra"さ。全力で乗り越えてこい」
困惑する者、覚悟を決める者、皆が様々な思いを抱く中、彩希は険しい面持ちで相澤の前へと踏み出し、こう言った。
「先生、特待生という理由で免除されませんか」
「されねぇよアホか」
((ず、図太い…!!))
特待生の神経は大樹のように太かった。
第1種目:50m走
『3秒04!』
機械音声がタイムを読み上げる。
早くも"個性"を活かしたタイムが出た。
その後も各々が最大限"個性"を活かし、確実にタイムを縮めている。
「次、お前だぞ」
「ん?」
彩希が皆の"個性"を観察していると後ろから声を掛けられ、振り返れば髪の色が左右で分かれている男子生徒がいた。
「私の番か、ありがとう」
声を掛けた生徒に手を振り、彩希はスタートラインへと走る。
「……?」
その後ろ姿に彼は、どこかで見覚えのある、懐かしいものを感じた。
「って、独走かい…」
「人数奇数だからな、ひとり余るんだよ。早よ位置につけ」
相澤に急かされ位置につく。しかし彩希はクラウチングスタートの態勢も取らず、その場で棒立ちをしている。相澤は怪訝な顔をしたが、あえて口には出さない。
クラス全員、特待生の実力が気になるのか彩希に注目していた。
『位置についてー、よーい』
予備動作の合図が鳴ると彩希はふわりと宙に浮いた。そしてスタートのピストル音と同時に、前傾姿勢を取り、動き出した。