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彼岸花を抱いて

第10章 新米探偵に依頼あり




【NO side】



智晃の目の色が変わったのを確認した凛は安心したように笑んでから、二人を見て




「明日にでも仕立て屋に向かいましょう」

智晃
「仕立て屋に?招待もされてねぇのに?」


「いつでも参加出来るように準備は必要ですよ」

智晃
「なる、ほど…?」



智晃の返事に笑みを浮かべつつ壁にかかっている時計を見上げ





「今日、行くのはやはり難しそうですね」

凉晴
「そうだな。何だかんだ時間かかってしまったから、明日で良いだろ」


「そうですね」







そして──…






智晃
「くそっ……お前、鬼だな…!」

凉晴
「習うより慣れろ、だ。技の説明はしただろ」

智晃
「あんなの説明かよ…!どわ…っ!」


いつもの廃工場に移り始まって数分。

膝に手を当て肩を上下に大きく揺らし息をぜぇぜぇと吐きながら、顎まで伝う汗を手の甲で拭いながら目の前に立っている凉晴を見上げながら言葉を発する。
だが、次の言葉の時にはまた違う技が智晃に向かっていて慌ててそれを避ける




「相変わらずですね」



椅子に腰掛け二人の様子を呑気にもコーヒーを啜りながら眺めていた凛が呟く。

仕立て屋に行く時間はないが、智晃の魔法特訓なら出来るという事になり凉晴が簡単に呪文と発動した時にどうなるかを伝えてから教える…というよりは一方的に攻撃をしている状態



凉晴
「おい、呪文は教えただろ。しっかりやれ」

智晃
「教えられたくれぇで…っ、出来っかよ!お前とは……っと、歴がちげぇんだよ…!」

凉晴
「関係ない。…出来る出来ないはお前の意志次第だ」

智晃
「んな事、言ったって…しま…っ!」



迫り来る炎の塊を避けようと脚を動かすものの、疲れからか滑らせてしまい智晃はその場に留まり逃げ遅れ、流石の凉晴も慌てて新たに詠唱をしようとしたが…




「ベントゥスウォール」



それよりも先に凛が座った場所から詠唱をして智晃の前に風の壁を創り炎の塊を弾いた



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