第10章 新米探偵に依頼あり
凛
「はい。全員が仮面をつけて参加する仮面舞踏会です。…どうやらそのドジャールマという所は、一部のVIP会員が別室で参加できる催しが噂ではあるみたいです」
凉晴
「…何処の世界でもあるんだな、VIPだけの催し」
実感のこもっている凉晴の呟きに智晃は疑問を持ったが、問い掛けても答えてもらえないと判断したらしく自分の意見を述べた
智晃
「けど、仮面が必要とかは特に聞かなかったぞ?それに、もし潜入してもVIPじゃなきゃ駄目じゃねーか」
凛
「仮面が必要なのは催しに参加するVIP会員のみだと思います。…潜入の方は何とかします」
智晃
「何とかって…。つか、VIP会員だけが参加できる催しって何だ?」
凉晴
「…人身売買、だろーな」
凉晴の唇から零れ落ちた言葉に智晃は驚いたように彼の方へ視線を向けた
智晃
「人身売買って…」
凛
「恐らく…間違いないかと」
俯きながら呟いた凛の言葉に智晃は呼吸がしづらくなるのを感じる
【智晃 side】
人身売買って…んなの現実にあるのか?
普通に生活をしていたら聞く機会なんかねぇ言葉に身体の体温が下がる。
じゃあ、消えたって人達は既に売られてるかも知れねーって事…か?
凛
「大丈夫ですよ、智晃。まだ…何とかなるかもしれません」
気持ちが伝わったのか隣に座っていた凛の少し体温の低い両手が俺の手を優しく包み込んだ。
すると、何でか落ち着くような…大丈夫だと思えたのと同時に呼吸がしやすくなった
凉晴
「やれるだけの事をやるんだ。最初から駄目かもなんて想像するな」
俺を睨みながら投げてきた言葉は貶すようなものではなく、鼓舞されているような感覚になるものだった
凉晴の言う通りだ…最初から諦めねーでやれる事やんねぇと…!