第77章 スキーと悪夢。
進んだ。進んだ。
でも一向に着かない。見えない。
なんだか・・・
「ずっとぐるぐる回ってる気がするんですが」
笠松「・・・それ、俺も思った。」
「もしかして私たち・・・」
笠松「あぁ。完璧迷っちまったな」
やっぱり・・・!
どうしよう。ここからどこに向かえばいいんだろう。
このままだと凍え死んでしまう。
何か。せめて寒さに対応できるものは・・・。
笠松「洞窟。」
「え?」
笠松さんが指をさした方向にはかまくらのような小さな洞窟があった。
「動物の巣かもしれませんよ・・・?」
笠松「でもこのままだとどちみち死ぬだろ」
「・・・そうですね。」
笠松「・・・入るぞ。」
私たちは洞窟に向かった。
私の手をぎゅっと強く握った。
・・・その手も、震えていた。
笠松「結構暗いな。」
「非常用のライターとカイロなら持ってますよ」
笠松「カイロなら俺も。」
「後は、非常食・・・カロリーメイト的なあれですけど」
笠松「野宿、だよな。」
「それしか道ないですよ・・・。」
洞窟の奥に進んでくと広いとはいえないが
二人がやっと寝れるようなスペースがあった。
中心には少し焼け焦げた木の枝が数本。
「誰か野宿してたんでしょうか」
笠松「さぁな。それより、ライター借せ」
「あっ、はい!」
笠松さんはライターを受け取ると、枝に火をつけた。
見事に中心に小さくだが焚き火ができた。
「これで周囲は確認できますね・・・」
笠松「手袋や帽子は乾かそうぜ」
「はい」