第64章 終演後の物語
彼女の顔が、窓から照らされた星の明かりでよく見えたわ。
涙を流して寝ていたの。何度も何度も、
「母さん、父さん・・・」
と言いながら。
その姿をみてクリストフはとんでもない大罪を犯したことにようやく気付く。
その時また神が現れたわ。
「少年よ。人を殺したな。何を感じる。」
「ああ神よ。私を、私を殺してしまってくれ。私は・・・なんということをしてしまったんだ。人がやることじゃない。私はもはや化け物だ、化け物も同然なんだ!」
クリストフが泣く姿をみて、神はこう言った
「少年、お前は大罪を犯した。よってお前に呪いをかける。寿命が縮まる呪いだ。長くて30持つか持たぬかの。」
「今すぐ殺せ!殺してくれ神よ・・・お前が殺さないのなら私は自分に刃を向け死ぬぞ」
「できぬ。時がくるまで、お前は生き続けなければならんのだ。死ぬことはできぬ。死ぬのがわかりながらも生きる、その恐怖を感じながら生き続けるがいい」
「ああ神よ!!やめてくれ!うわああああああ」
そして時が経ち、クリストフは20になった。
後十年。いや、もう少し前か。そんな恐怖心に襲われながら生活しているとき、ナターシャがこの街にやってきた。
みすぼらしい服装で、汚い靴で、歪な形をした果物を籠にいれながら。クリストフはあの時の娘と分かって、さらに恐怖を感じたわ。そして22になった時、気づくの。
あの娘にいい思いをさせたら、もしかしたら呪いは解けるかもと。そこでクリストフはいつも多めの金を持ち、果物を買い始めるの。