第36章 束の間の日常
ケイジさんの予想した通り、ハンジ分隊長は2時間ほどしてから戻ってきた。
私達はそれぞれ仮眠を取っていたのだが、無情にも分隊長達にたたき起こされたのだった。分隊長「達」と言ったのは、そこに兵長も含まれていたからだ。
私の事を起こしに来たのは兵長で、「おい…起きろ、出発だ」と耳元で囁かれ、私は飛び起きた。
「わあっ!」
ドッドッドッと心臓が大きく鼓動している。全く、何という寝起きドッキリだろう。兵長に早く会いたいとは思ったけれど、こんなパターンは求めていない。
兵長はベッドに手をついた姿勢のまま、驚いている私の事を見つめている。その顔はとても近いところにあった。
(あ、なんかこの感じ…デジャヴ…)
医務室で兵長にキスをされた時と、状況が非常に似ているように感じたのだ。今、部屋には私達しかいない。もしかすると…