第35章 覚悟
2本ある左腕の内、ほっそりとした方を手にとった。それは、立体機動装置のトリガーを握ったままの形で固まっていて、ブレードの刃は完全に折れてほとんど残っていなかった。
それを見たら、私は次から次へと涙が溢れ出てきた。
「ナナバさん…最後まで、あなたは勇敢に戦ったんですね…」
トリガーにかけられた白くしなやかな指…、それは何度も何度も私の頭を優しく撫でてくれた彼女の手に間違いなかった。
もう1本の左腕も取り上げる。こちらもまた…よく見慣れた無骨な手だった。
「ゲルガーさん…」
固く握り締められた拳に、彼もまた最期の時まで必死に戦ったのだということが見て取れた。
二人から教えられたこと、二人と過ごした時間、二人によく頭を撫でてもらったこと…。それらの思い出がいっぺんに頭の中に渦巻いて、あまりにも大きな悲しみに私は声を上げることもできず、ただただ静かに涙を流したのだった。