第35章 覚悟
「ラウラ、辛いだろうけど落ち着いて聞いて。遺体は確かに4人分見つかったんだけど、ナナバさんとゲルガーさんのものと思われる遺体は、身体の一部しか見つけられなかったの」
…見つからなかった部分は、巨人に食われてしまったということなのだろう。
足のつま先から全身が凍りついていくような恐ろしさを感じながら、私は遺体を覆っている布をゆっくりとめくった。
まず目に入ったのは、リーネさんとヘニングさんの遺体だった。まるで何かに激しくぶつかったような酷い怪我を負っていたけれど、身体の欠損は見られなかった。
自分でも気がつかないうちに手が震え始めていた。
さらに布をめくると、そこには左腕2本と右腕1本だけが置かれていた。
「あ…」
それを見た私は、急に身体の力が抜けて両手をついてしまった。驚いたニファさんが駆け寄ってきて何かを言っているけれど、何も耳に入ってこない。
正直言って、二人が死亡したと聞いてはいたものの私は全く現実感を持てないでいた。二人が巨人に身体を食いちぎられるところは、コニーやクリスタが目撃しており、それを直接聞いているから情報に間違いがあったとは思っていない。
だけど…あの二人はあまりにも私にとって大きな存在過ぎて、なくしたことがすぐには理解できないでいたのだ。