第35章 覚悟
「この巨人が”お帰り”って言ったのは、母ちゃんだったからなんだ…俺が…村に帰ってきたから…」
能面のようだったコニーの顔が、見る見る内に歪んでいく。
「誰だよ… 俺達を こんな目に遭わせる奴は…」
ボタボタとコニーの両目から涙がこぼれ落ちて、その痛哭の涙に私と分隊長は言葉が出なかった。
もしも…全ての巨人の正体が人間だったのだとしたら…?
壁外調査で殺した巨人達も、生体実験で殺した巨人達も…もとはみんな、コニーのお母さんみたいな普通の人間だったということなの…?
生体実験のために捕獲され、全身に杭を打って地面に固定されていたソニーとビーンの姿が脳裏に浮かぶ。
「痛覚の確認」実験の際のビーンの絶叫が…耳の奥にこだまするような気がした。