第35章 覚悟
ガラス玉のような瞳を見つめていると、どこかで見たことがあるような既視感がわいてきた。
どこだっただろう…と、過去に出会った巨人達の顔を思い浮かべながら、何の気なしに隣にいたコニーの顔を見た。
私の視線に気付いた彼がこちらを見て、バチッと正面から目が合う。そのまんまるな瞳を見て、私は背中に寒気が走ったのだった。
「あの巨人の瞳の色…コニーに似ている」
「えっ?」
思わず口走った言葉に、コニーは目を見開いた。…その見開いた様子が、ますます巨人に似ている様に思えた。
「ラウラさん、何言って…」
コニーが、困惑した表情をしながら話し始めたのをハンジ分隊長が遮った。
「…コニー、君の家族の顔が分かるような物は持っていないかい?そう、例えば肖像画とか」
「家族の顔が分かるものですか…?」
ますます困惑した様子だったが、コニーはすぐに動いた。頭で考えるよりも身体を動かす方が得意なタイプだと、いつだったか言っていたことを思い出す。
「確か、両親の肖像画が居間に飾ってあったと思います!あ…でも巨人の下敷きになっちゃってるかもしれませんけど…」
馬から飛び降りて、倒壊した家屋に駆け寄って行ったコニーの後に、私と分隊長も続く。私は先ほど巨人の周りを一周した時のことを思い出して言った。
「棚が外にはじき出されていたよ!その中にないかな?!」
私達は急いで、家の横に転がっていた棚の中身を調べ始めたのだった。