第35章 覚悟
エルヴィン団長からも、「リヴァイは誰よりも君を大切に思っている」と言われたじゃないか。
もう…そのままの意味だ。あそこまでストレートに言われたのに、よくぞ気づかないでいられたものだと思う。自分で自分に呆れてしまう。
それもこれも、兵長が私なんかを相手にするはずがない、完全なる私の片思いである、と思い込んでしまっていたことが原因だろう。
…人間って、一度思い込むと、びっくりするくらい客観的に考えられなくなってしまうんだな…。思い込みとは本当に恐ろしいものだ…。
先ほどのハンジ分隊長の話や兵長の態度から、今まで見過ごしてきてしまった色々な出来事の訳をやっと知った。
何故ここまで分かりやすいことが分からなかったのだろうと…自分の鈍感さにため息が出る。そして同時に、心が幸福感で満たされていくのを感じた。
ぽたり、とシーツに涙がこぼれ落ちた。いつの間にか私は泣いていた。
「嬉しいです…兵長。私も、兵長の事がずっと好きです」
自分しかいない部屋の中でつぶやいた途端、滑稽なほど涙が溢れ出て、私は生まれて初めて嬉し泣きをしたのだった。