第35章 覚悟
その後私は、分隊長から兵団の今の状況を教えてもらった。
今回の作戦で負傷した兵は多く、私のように療養している兵士がまだ相当数いるとのことだった。だから兵団内は人手不足で、動ける兵士はほとんど休むまもなく働いているという。
女型巨人の捕獲、超大型巨人や鎧の巨人との戦闘、エレンの奪還と…立て続けに大きな作戦を決行したので、報告書の作成やら武器や備品の片付けなど、やらなければいけない事が山積みだ。少ない人数でこなしていくには大変すぎる量である。
重傷を負ったエルヴィン団長はまだ意識が混濁した状態が続いていて、とても会話ができるような状態ではないという。
巨人に食いちぎられた団長の右腕の事を思うと、胸が痛くて涙が出そうになる。どうか…一日も早く回復することをお祈りするばかりだ。
そしてエレンはと言うと、とある場所に隔離されたとの事だった。最重要機密事項であるため詳しい場所は伏せられたが、とにかく彼が無事に保護されていると聞いて私はホッと胸をなでおろした。
壁に到着してリフトで登っていく姿を見送った時のことを思い出す。あの時の彼の絶望した顔を思うと、またもや涙が出そうになった。
早くエレンに会って、自分の目で彼の無事を確かめたい。大丈夫と言って側にいてあげたい。