第34章 おかえり
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「はっ!」
目を覚ますと、窓から差し込む光が顔に当たっていて、思わず私は顔をしかめた。その眩しさで目を覚ましたのだろう。随分とよく眠った気がするが、一体今は何時なのか?
そう思って目をこすっていると、頭上から声がした。
「具合はどうだ?」
私のベッドの端に兵長が腰掛けていて、こちらを見下ろしていた。
「兵長!」
バッと私は起き上がったが、何だか違和感がある。そう思って自分の手を見下ろすと、何と私は兵長の手を握り締めていた。
「わああっ?!え?なんでっ?…って、じゃなくて、も、申し訳ありません兵長っ」
寝ぼけて握ってしまったのだろうか?とにかくとんでもない事をしでかしたのには違いない。私は慌てて手を離そうとしたが、そこで予想外のことが起こった。ぎゅっと兵長が手を握り返してきたのだ。
「え?!」
兵長は私の手を口元に持っていくと…そのまま手の甲にキスをした。
手の甲に触れる温かさを感じながら、今一体何が起こっているのか、私の頭は必死で理解しようとフル回転した。兵長は何を…?