第34章 おかえり
「ぷはっ、はぁ、はぁ」
唇を離すと同時にラウラが大きく息を吸い始める。必死に深呼吸している姿を見たら、何だかもうどうしようもなく愛おしさが込み上げてきて、俺はラウラに覆いかぶさってその小さな身体を抱き締めた。
「悪い悪い…急に無理させすぎたな。すまねぇ」
スリと頬ずりをして、ラウラの頭をポンポンと軽く撫でる。母親が赤ん坊にするようにして、俺は何度もラウラに頬ずりをした。胸の奥から溢れ出てくる気持ちを抑えきれない。ラウラの事が可愛くて可愛くてどうしようもない。
だが、ふとラウラがあまりにも静かであることに気がつき、頬を離して顔を見てみると、なんとラウラは目を回していた。
「オイ!?」
俺は慌ててラウラの身体を抱き起こしたが、完全に意識を失っているその身体はダラリと力なく垂れるだけだった。
俺は思わず呆気に取られたが、
「…くっ、くくく…」
すぐに可笑しさがこみ上げてきて、俺は柄にもなく声を上げて笑った。こんなに古典的な反応をするやつは初めて見た。
そっとラウラの身体をベッドに横たえると、赤く染まった頬をスリと指で撫でた。
早く元気になれ。俺はまだまだ満足してねぇぞ。