第34章 おかえり
「…嫌か?」
もう一度問うと、大きく見開かれた瞳と正面から視線がかち合った。
「…いえ!そんなこと…」
「なら、良かった。許せ」
ラウラの言葉を聞き終わるかいなかのところで、待ちきれずに俺は再度口づけた。
「んっ」
ラウラが小さく声を上げる。先ほどまで大きく見開かれていた瞳は、今度はぎゅうとキツく閉じられていて、触れる唇は震えていた。
(可愛い)
唇を触れ合わせるだけの簡単なキスを、角度を変えて何度も何度も落とす。柔らかい唇と温かな体温に、俺は恍惚として目を閉じた。気持ちいい…もっと、ラウラが欲しい。もっと色々な所に触れたい。
するりと頬を撫でると、滑らかな頬は熱を帯びていて、温かいを通り越して少し熱いくらいだった。
ギッとベッドを鳴らして、俺はさらに深く口づけようと身体を乗り出した。
だが、うっすらと目を開けてラウラの顔を見てみたら、ラウラは真っ赤な顔をして目元に少し涙を浮かべていたものだから、非常に離れがたくはあったが何とか衝動を抑え込んで俺は唇を離した。
これ以上やったら気絶しちまうんじゃねぇかって思ったから。