第34章 おかえり
次々と運び上げられてくる負傷兵の介抱をしながら、俺はラウラの姿を探していた。だが待てども待てども、ラウラは姿を現さない。もうほとんどの兵士が運ばれたという段階になって、いよいよ俺は不安にかられた。
まさか…死んだのか?という恐ろしい考えがふと脳裏をよぎった時に、丁度到着したリフトからラウラが降りてくるのが見えたのだった。遠目に見てもその表情は憔悴しきっていたが、それでも何とか自力で歩けているようだった。
ワナワナと身体の奥の方から震えがこみ上げてきて、俺は思わず大声で叫んでいた。
「ラウラ!!」
その声が届いたのかあいつは勢いよく顔を上げると、まっすぐに俺の方を見た。そしてくしゃりと顔を歪めると、まるでガキが母親にするようにして両手を広げながら走ってきたのだ。もともと幼く見える顔が涙で濡れていて、本当に小さな子どもの様に見えた。
ラウラの行動に呆気に取られた俺だったが、グングンと近づいてくるラウラの姿に思わず腕を広げて待ち構えた。
そこにラウラは勢いよく飛び込んできた。ぎゅううとしがみつくようにして回された腕に、俺は心臓が飛び出すんじゃねぇかと思うほど鼓動が高鳴る。
俺もラウラの背中に腕を回すと、しっかりとその華奢な身体を抱きしめた。