第33章 道標
ぬうっと伸びてきた巨大な手を目掛けて、私はブレードを大きく振り上げた。
その時。
私に腕を伸ばしていた巨人が、首がねじ切れそうな勢いで振り返ると猛烈な勢いで走り出した。その巨人だけじゃなく周囲にいた巨人全員、突然狂ったように同じ方角に走り始めたのだ。
巨人達が舞い上げた土埃が、雨のようにバラバラと私と団長に降り注ぐ。
「な…なに…!?」
降ってくる 砂や小石を腕で防ぎながら巨人達が走って行く方向に目を向けると、その先にはエレンがいて、ブンブンとメチャクチャに拳を振るっていた。
走っていった巨人達はそんなエレンを飛び越えると、その向こう側にいた一体の巨人に飛びかかった。
その巨人は、群がった巨人達にあっという間に身体を引き裂かれた。ブチッブチッと、腕や足がいとも簡単にもがれていく…。
一体何が起こっているのだろう?私は呆然とその光景を見つめるしかなかった。あまりのことに、身体が固まってしまって動かない。
だけど不意に身体を引かれて、私はハッと我に帰った。いつの間にかエルヴィン団長が立ち上がって私の肩を掴んでいた。
「ラウラ、馬に乗れ!!」
団長の指し示した先には、いつの間にか私達の馬の姿があった。ブルルルと荒い鼻息を吐いて興奮しているようだったけれど、きちんと私達のことを見つめている。呼んでもいないのにこの状況の中で来てくれたというのか。