第33章 道標
「うおおお」
すぐさま、近くにいた兵士がその巨人に向かっていく。
「団長!!鎧が…鎧が来ます!!」
背後にいる兵士が叫ぶ。周囲には次々と巨人が落ちてくる。もう…もう…どうしたらいいのか分からない。グルグルと頭が回るようだ。色んな思いとか、記憶とかが頭の中を駆け巡っているような感じがする。
その激しい渦の中で不意にリヴァイ兵長の顔が浮かんだ。それは普段の何気ない表情ばかりだったけれど…、そのどれもが、私の事をまっすぐに見つめていた。
じわっと私の両目に涙が溢れる。兵長…!いますぐ、兵長に会いたい…!
「あ゛っ!!」
先ほど、巨人に向かって行った兵士が悲鳴を上げた。巨人につかみ上げられた彼は、あっという間に巨人の口の中に消えていく。
私は涙をボタボタと流しながらブレードを構えると、団長を庇うようにして巨人の前に立ちふさがった。
兵長…!リヴァイ兵長…!絶対に壁内に戻って、またお会いしたかった。でもこの状況ではどうやらそれは難しそうです。だからどうか…最後に私に力を貸してください。エルヴィン団長だけでも、生きて壁に帰せるように…。