第33章 道標
すぐさま団長の元には護衛の兵が集まっていく。10人近い人数だ。この状況下で瞬時にこれほどの数が集まる事に驚いたが、かくいう私もその内の一人だ。
もう無我夢中で、まだ落下の衝撃で地面に転がっている巨人達のうなじを削ぎまくった。きっとこれは、自己最高の巨人討伐数になるだろう。生きて帰れればの話だが…。
「団長!!」
たった今一緒にうなじを削ぎ落とした兵士と共に、エルヴィン団長に駆け寄る。地面に膝をついている団長の身体に私は腕を回してしっかりと支えた。そんな私を見下ろしながら、団長は荒い息を吐きながら言う。
「私の代わりは いる!それより…エレンを連れて離脱しろ!」
私はブンブンと顔を振った。代わりなんている訳ない!!エルヴィン団長の代わりなんて、一体誰がそんな事できるというのだろう!?そんなこと絶対に無理だ!!
「一刻も早く!」
そう団長が叫んだ時、私の隣にいたはずの兵士が消えた。ハッとして上を見ると、ジタバタともがく彼の足があり、チュッと奇妙な音を立てて巨人が彼を吸い上げているところだった。