第33章 道標
「総員撤退!!」
団長の叫ぶ声が耳に届いて、私はジワジワと身体の腹の底から喜びが沸き上がってくるのを感じた。
私達はエレンを奪還した…!!やった…!やった…!エレンを取り返した!!
だけど、ライナー達がそう簡単に逃がしてくれるはずが無い。それこそ必死になってエレンを奪い返そうとしてくるだろう。絶対に追い付かれてはいけない。
私達は、死に物狂いで馬を走らせた。
だけど数十メートルも行ったところで、ドスンッと巨大なものが空から降ってきて、私達の行く手を塞いだ。
舞い上がる土ぼこりの向こうで、むくりと大きな身体が起き上がるのが見えた。飛んできたのは…何と巨人だった。
振り返ると鎧の巨人が、自身に群がる巨人達をちぎっては投げていた。
「なっ…」
なんって事を…と、いう言葉すら出てこない。砲弾のように飛んでくる巨人を避けることで手一杯で、まっすぐ走ることすらままならない。
そんな時だった。飛んできた巨人を避けきれずに、エルヴィン団長が落馬した。