• テキストサイズ

【進撃の巨人/リヴァイ】君が描くその先に

第33章  道標


 私は…、エレンではなくエルヴィン団長のもとへと走っていた。もう、考えてから動くような余裕は無い。さっきから全ての行動は、反射的に決めていた。あの一瞬で、私の身体は迷うことなく、まっすぐにエルヴィン団長に向けて動いたのだ。
 私と同じように、団長に向かって動いた兵士が一定数いた。私達は一斉に立体機動で飛び上がり、団長を咥えている巨人のうなじを削ぎ落とした。全員が極限状態の中で、恐ろしいまでの集中力を発揮していた。

 巨人の口が開き、エルヴィン団長の身体が地面に投げ出される。

「団長っ!!」

 私は一番に駆け寄った。団長は何とか起き上がろうとしていたが、上手く起き上がれなかった。右腕が…綺麗に無くなっていたから。

 血の気が引くとはこの事だ。もう…何も考えられない。私は紐を取り出すと、血が噴き出している団長の腕をグルグルとキツく縛った。

「うぐっ」

 団長は苦しそうな声を上げたが、私が腕を縛り終えるとすぐに立ち上がった。そして駆け寄って来た馬に飛び乗ると、まるで大砲が発射されるような勢いで走って行ってしまった。
 そのあまりの速さに、私は取り残されてしまった。だが、私のもとにも馬が駆け寄って来てくれたので、団長と同様に飛び乗った。

 先に飛び出して行ったエルヴィン団長の姿をやっと視界にとらえた時、団長はベルトルトを一閃していた。

 エレンを負ぶっていた紐が断ち切られて、落下していく彼の身体をミカサがしっかりと抱きとめる。

/ 660ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp