第33章 道標
だけどすぐに、馬の走る振動とは別の揺れがあることに気がついた。
振り返ると、大量の巨人達がこちらに向かって走ってきているのが見えた。次から次へと森から飛び出してくる光景に、私は全身の血が凍るような恐怖を感じた。
あれに追い付かれたら終わりだ…とそれこそ死に物狂いで走っていると、いつの間にかエルヴィン団長が並走していた。
「各班!!巨人を引き連れたままでいい!!私に付いてこい!」
そのまま団長はぐんぐんと私を追い抜いて前に進んでいく。
私はその後ろに続いた。状況が目まぐるしく変わりすぎて、正直混乱しているけど、迷っている時間なんて無い。とにかく動くしかないんだ。だから、目の前を走る団長の背中を必死で追いかけた。
前方を走る鎧の巨人。その後ろを、調査兵団のマントを翻して走る一団の姿が見える。きっとあれはミカサ達だ。私達も早く追いつかなければ…。
私はそう思って走っていた。だがすぐに、団長の走る方角が徐々にズレていっていることに気がついた。
「エルヴィン団長!?鎧の巨人を追っているのではないのですか!?」
私は思わず叫んだ。だって…鎧の走っていく方向とはどんどんズレていっている。早く鎧に追いついて、エレンを助けなければいけないのに…!
「我々はこのまま巨人を引き連れて、鎧の巨人を挟み撃ちにする!!」
「!?」
団長の言葉に、私は一瞬呆気に取られた。思わず、鎧の巨人の方を見てしまった。だが…、