第33章 道標
「よし…これなら、団長にもすぐ状況が伝えられる。よくやった、ラウラ、アルミン」
私が描き上げた報告書を見て、ラシャドさんが言ってくれた。
「お前が絵を描いているところは初めて見たが、素晴らしい技術だな。心から感心するぞ。お前の描いてくれた絵が、どれだけ俺達の活動に役立ってきたことか…」
ラウダさんもそれに続く。
「本当に、この短時間で描かれた絵とは思えないわ。もし無事に帰ることができたら、その時はアトリエに遊びに行っていいかしら?」
「も、もちろんです!そう言っていただけて光栄です」
私はちょっとどもりながらも笑顔を浮かべた。実は、いまだに褒められることに慣れていない。今では私の絵は様々な人の目に触れるようになっていて、絵の事で声をかけられる事も増えたというのに。
嬉しいけど…それ以上に恥ずかしくなってしまって、私はこういう時にいつも困ってしまう。一体どんな顔をすればいいんだろう。本当に嬉しいんだけど…無邪気にそれを表現できない。自分の気持ちを素直に表に出すことができれば、もっといいのに。