第33章 道標
「はっ」
深い眠りから覚めて、私は身体を起こした。随分とよく眠った気がするが、陽は傾いていないから、それほど時間は経っていないのだろう。
ふと両脇を見ると、コニーとクリスタが私に寄り添うようにして眠っていた。まるで川の字のようになって眠っていたらしい。
「ラウラ、もう起きたのか?まだ寝てていいんだぞ?」
すぐ近くで見張りをしているハンネスさんが声をかけてくれる。
「ハンネスさん、私どれくらい寝てました?」
「まだ一時間くらいしか経ってねぇぞ。そこの二人はついさっき眠ったみてぇだ。よほどショックが大きかったんだろうなぁ…中々眠れなかったみたいだが、お前の寝息を聞いてると落ち着くと言って、いつの間にか側にいたぞ」
そう言われて二人の寝顔を見下ろすと、目元にはうっすらと涙の跡が残っていた。私は胸が締め付けられるような気持ちがした。二人の身体に、野営寝具の布をかけ直してやる。
「ハンネスさんも休んでください。私は結構体力が戻りましたから」
「無理するな。俺よりもお前達のほうが長時間任務が続いていて疲れているだろう」
「私はいつでもどこでも眠れますから。ちょっとした特技ですかね」
「あぁ、確かにお前の寝つきの良さには驚いた。あんだけよく眠れれば、さぞ気持ち良いだろうな」
「確かにそうですね。それに、私はそんなに体力がある方じゃないので、この寝つきの良さのおかげで人よりも早く体力回復ができているんだと思います。だから今までやって来られたようなものです。なので、私のことは気にせずハンネスさんも休んでください」
「そうか?んじゃまぁ、俺も少し休ませてもらうか」
そう言ってハンネスさんも、コニー達と同じようにゴロンと横になったのだった。