第33章 道標
(エレン…絶対に…絶対に取り返す…)
連れ去られていくエレンの姿を思い出して、私はギリと歯を食いしばった。
鎧の巨人がエレン巨人のうなじを大きく齧り取った時の光景と、壁の下に降りた際に見た、地面に横たわっているエレン巨人の骸を思い出して、くやしさがこみ上げた。
エレン…今どこにいるの?まさか殺されているということはないだろうけど…丁寧にも扱われていないだろう。
あの時…ライナーとベルトルトが巨人化した時…あと一歩近くにいれば、私はエレンの腕を引けたのに。そうすれば彼らからエレンを引き離して、連れ去られる前にエレンを逃がすことができたかもしれないのに…。
そんな思いが何度も頭を巡ったが…私もそろそろ身体が限界のようだった。頭がクラクラして、全身が重い。
「コニー、クリスタ、エレンの事は心配だけど、とにかく今は休もう。ハンネスさんの言う通り、この後の作戦で十分に働くためには、体力を少しでも回復させておかないと」
「は、はい…」
私と同じように、もどかしさをいっぱいに抱えた表情をしながらも二人はコクリと頷いた。
「じゃあ、とりあえず私は寝るけど…あんまりびっくりしないでね」
「え?それはどういう…」
私の唐突な宣言に二人は首を傾げたが、もう説明してあげる気力もない。私は無造作に身体を横たえると、全身から力を抜いたのだった。