第33章 道標
「エレン!?あれが巨人化したエレンか…」
ハンネスさんが息を呑むのが分かる。そうか…ハンネスさんはエレンが巨人化した姿を実際に目にしたのは初めてなのだ。
「ラウラの絵では見ちゃあいたが…」
エレン巨人を見つめるハンネスさんの瞳には、困惑と心配の色が浮かんでいた。
幼い頃から知っていて、つい先ほどまで頭を撫ぜられてむくれていた少年があっという間にあんな姿になってしまったのでは、戸惑うのも無理はない。
一方の私も、辺りの惨状に絶句していた。地面のあちこちが大きくえぐれ、木々はなぎ倒されている。巨人達がどれほど激しく戦っていたのかということがよく分かる。
そんな最中、今度はバキバキという大きな音が聞こえてきた。
「?」
ハッとして顔をそちらに向けると、超大型巨人の巨体がゆっくりと倒れていくところだった。先ほどから鳴り響いてくるこの音は、超大型巨人が壁に身体を固定するためにへばりつけていた肋骨が折れていく音だったのだ。
「お…おい…おいおいおいおい…」
コニーが声を上げる。私は声も出ない。
まさか…嘘でしょ…このままじゃ…
超大型巨人の巨体は大きく傾いていく。壁に刺さっていた肋骨が次々と折れていき、その身体を支えるものは何もなくなった。
その身体は一瞬宙を舞うようにして動きを止めたが、次の瞬間、とてつもない勢いで落下していった。
「上だぁ!!避けろおおおお!!」
私達は大声で叫んだ。それは二班の兵士達の叫びとぴったり重なる。
超大型巨人が落ちていく先にはエレン巨人と鎧の巨人、ハンジ分隊長率いる一班が…