第33章 道標
だが次の瞬間、超大型巨人の全身から勢い良く蒸気が噴出されて、私達の全身を熱風が包み込んだ。先ほどの巨人化の時の蒸気とは比べ物にならないくらいの熱量である。
「総員一旦退け!!」
「熱ッ」
ジリジリと火で炙られるかのような熱さに、たまらず私達はアンカーを外して超大型巨人から距離を取った。
「うぅ…手が…」
「水だ!水を持ってこい!!」
超大型巨人の近くに居た者ほど、熱風の被害を受けた。うなじのすぐ近くにいた兵士の手は、痛々しいほど真っ赤にただれていた。
私はすぐさま、壁上に運び上げた物資の中にある水や応急セットを取りに行った。私に続いて、動ける兵士達は次々と動き始める。
「水を持ってきました!!」
負傷した兵の横に膝をついた私は、赤く腫れ上がった手に、水で濡らした布を巻きつけると思い切り扇いで風を当てた。いわゆる気化熱効果を狙ったものだ。抜群の効果がある訳ではないけれど、限られた物資で多くの兵士の手当てをしなければいけない時には、このような方法を取ることもやむを得ない。
兵士達が不安で混乱する中でも、ハンジ分隊長は冷静だった。テキパキと兵士達に下知をする。
「三・四班!目標の背後で待機しろ!二班はここで待機!」
そして私の方をくるりと振り向く。
「ラウラ、君はここで負傷者の手当てをしてやってくれ!そして可能な限り、記録に残せるよう状況を観察しておいてくれ!」
「はいっ、了解しました!」
大声で返事をすると分隊長はコクリと頷いて、壁から飛び降りた。
「アルミンと…一班は私に付いてこい!『鎧の巨人』の相手だ!!」