第32章 裏切り者達
あっ、と思った時にはもうミカサは駆け出していた。
「勝負は今!!ここで決める!!」
そう言ってライナーがエレンに向かって一歩踏み出した時、エレンの背後からミカサが剣を振り抜いた。
まさに閃光が走るかのような素早さで、彼女はライナーの右腕を切り落としベルトルトの喉元をかき切った。
「あぁ?あああうああああああ!!」
あまりのスピードに、一瞬何が起こったのか分からなかったのだろう。切られた手首と首から大量の血を噴き出しながら、ベルトルトが地面に転がった。
「エレン!!逃げて!!」
ベルトルトに馬乗りになってミカサが剣を振り下ろそうとした時、その背中にライナーが強烈な体当たりをした。ミカサは吹き飛ばされ、壁の外側に落ちていく。
「エレン!!逃げろ!!」
ハンジ分隊長達を引き連れてアルミンが駆けてくる。私もエレンに向かって走った。エレンを守らなくては…!!
地面に尻餅をついている彼の腕を引っ張り上げようと、手を伸ばす。だけど、あとほんの少しだけ足りなかった。